【美しくてフワフワ】だし巻き玉子を美味しくする科学《冷めてもしっとり》

好きな出し巻き玉子とはどんな状態ですか?

人それぞれ好みが有ると思いますが、僕が理想としているのは『フワフワで、冷めてもしっとりしていて、きれいなだし巻き玉子』です。

今回、僕の理想とする姿を追求した玉子焼きについてお伝えします。

お好みも有ると思いますが、お付き合い頂けますと嬉しいです。

フワフワな玉子焼きとはどんな状態なのか?

玉子焼きとは、加熱によって玉子の中のたんぱく質を固めならが巻いていくお料理で、出汁が加わると『だし巻き玉子』になります。

玉子焼きを焼くと、この3パターンに別れます。

  1. 固い玉子焼き
  2. フワフワでしっとりした玉子焼き
  3. 油っぽい玉子焼き

ご家庭で玉子焼きを作った場合、①か③の玉子焼きが出来上がることが多いのではないでしょうか?

下図をご覧頂きたいのですが、

①固い玉子焼きは、タンパク質が密集して固まっている状態。

③油っぽい玉子焼きは、油がタンパク質に包まれていない状態や、余分にある状態です。

フワフワ玉子焼きを作るためには、②のように、タンパク質の中に水分と油・脂肪分を程よく抱え込ませた状態で、固めてあげる必要が有るということになります。

マヨネーズを玉子と一緒に混ぜたらフワフワの玉子焼きになるというお話を聞かれたことが有ると思いますが、それは、この原理を使って、玉子液(玉子焼きを巻く前の液体)の状態で玉子と油を乳化させているからです。

個人的には、マヨネーズを使わなくても、理論と練習でもっと美味しい玉子焼きを作れると思いますので、その方法はお伝えしません。

卵白と卵黄の成分の違い。

  • 【卵黄】約15%のたんぱく質と、約30%の脂質、約50%の水分。
  • 【卵白】約12.5%のたんぱく質と、約87%の水分。タマゴ全体の約2/3を占める。

ここで知って頂きたいのは、卵白には脂質が含まれていないこと。

冷めた目玉焼きを思い出して頂きたいのですが、卵白部分はカチカチに固くなっているのに比べて、卵黄の部分は比較的柔らかいのは、卵黄に含まれる脂肪が影響しているためです。

つまり、だし巻きの場合は、卵白と卵黄をしっかり混ぜて乳化させあげると冷めてもフワフワになると考えられます。

『巻いた茶碗蒸し』が、美しいだし巻き玉子。

美味しいのは勿論ですが、美しいのも大切だと僕は考えているのですが、だし巻き玉子の美しさを決めるのは、加熱する温度が大きく影響してきます。

実は卵黄と卵白は凝固する温度が微妙に違っています。

  • 【卵黄】65℃〜70℃で固まる。
  • 【卵白】75℃から段階的に固まりはじめ78℃で完全に固まる。(一部は58℃〜65℃で固まる)

ちなみに、温泉玉子はこの温度差を利用したお料理で、70℃で27〜30分加熱すると上手にできます。

卵白と卵黄の固まる温度の違いから考えられることは、玉子がよく混ざっていない場合、焼いている時に、焼けている部分と焼けていない部分が出来てしまいムラになってしまいます。

ムラになると表面が凸凹になるだけでなく、脂質や水分を抱え込む量も少なくなってしまうのです。

そういった意味からも、玉子をしっかり混ぜておく必要があるのです。(特に冷めても美味しい玉子焼きにするためには)

茶碗蒸しを思い出して頂きたいのですが、

なめらからな茶碗蒸しはプルプルで出汁が口の中に広がって美味しいですよね。しかし、『ス』が入った茶碗蒸しはモサモサしたり出汁と玉子の一体感がありません。

ちなみに、茶碗蒸しとだし巻き玉子の違いは出汁の量だけなんですって。

茶碗蒸しに『ス』が入る原因は温度にあり、90℃以下でゆっくり加熱をしてあげることでスが入ることを防ぎます。

同様に、だし巻き玉子も高温で巻きすぎるとスが入ったような状態になってしまいますので、ご家庭では『弱めの中火』で巻くのがオススメです。

巻くのが上手になったら『強めの中火』にすると、より美味しくなりますよ。

しかし、温度が低ければ良いと言う訳でもなく、『弱火』では長時間火にかける事になるため水分が抜け固くなり易いですし、巻き鍋にくっついてしまいますのでオススメしません。

色々書きましたが、油や脂肪をいかに玉子に含ませることができるかが、フワフワだし巻きのポイントという訳です。

だし巻き玉子の材料(出汁の割合)

玉子液
  • たまごM 3個
  • 出汁 45cc〜90cc
  • うすくち醤油 5cc
  • 塩 1〜2g

玉子1個に対して出汁15ccと覚えてください。まずはこの分量から練習して、玉子1個につき30ccを目指してみてください。
プロは1個につき45cc位でやったりしますが、ちゃんと巻ける人はあまりいらっしゃいません。

玉子液を作る手順

  1. 玉子をボウルに割り入れる。
  2. ボウルの底に泡立て器をつけながら、泡立てないように混ぜる。
  3. 出汁に塩、うすくち醤油を混ぜる。
  4. ②の玉子に③を入れて混ぜる。
  5. ザルなどでこす。

調味料を玉子に直接入れてはいけない理由

塩や醤油はタンパク質を固めてしまう性質を持っています。

玉子に直接塩や醤油を入れた場合すぐにタンパク質を固めてしまいムラが出来てしまいますので、まずは出汁で混ぜた後に玉子と混ぜると、タンパク質の凝固が押さえられます。

巻き鍋(玉子焼き器)はテフロン? 銅?

個人的には銅製の巻き鍋(玉子焼き器)が一生使えますし、フワフワの玉子焼きが作れるのでオススメです。

油がしっかり馴染む前は、くっついたりして巻くのが難しく失敗も多いと思いますが、崩れた玉子焼きを食べるのも、それはそれでよろしいんじゃないでしょうか。

時間が解決してくれると思います。

巻けるようになるまではテフロン製を使って、上手になったら銅鍋に変えるという考え方もあるかもしれませんが、

テフロンはフッ素などを含んでいますので個人的にはオススメしません。フッ素で体調を悪くしても時間は解決してくれませんから。

巻き方

巻き方を文字で伝えるのはとても難しいので、ぜひ動画をご覧ください。

手順とポイントをまとめておきます。

  1. 巻き鍋を火にかけ、少し多めに油(米油)を引く。
  2. 巻き鍋が温まって油が馴染んできたら余分な油を取る。(そのまま玉子液を入れるには温度が高い)
  3. 弱火の中火にする。
  4. 巻き鍋を適正な温度まで下げる。(玉子液を箸につけ巻き鍋に線が引ける位の温度)
  5. 玉子液を1/3弱入れる。(軽くジューと音が出る位)
  6. ふくれてきたら箸で穴をあける。
  7. 奥側から手前に畳んでいく。
  8. 畳めたら油を引き、玉子を奥に戻す。
  9. 油を引き、玉子液を1/3程度入れる。
  10. 焼いた玉子の下にも玉子液を入れる。
  11. 1回目と同様に繰り返して2回目、3回目も巻く。
  12. 巻き終わったら杉板や巻きすにとって形を整える。
  13. すぐに切らずに、1〜2分程アルミホイルなどをかぶせて落ち着かせてあげると、出汁が玉子から流出してしまうのを防ぎます。

半熟で巻いていくのがポイントだよ!

巻き方は動画でご覧ください。